皆様、「転勤」という言葉を聞くと不安になりませんか?
転勤がある組織で働くうえで、遅かれ早かれやってくるもので、避けては通れません。
特に、大きな組織の総合職では、短期間で全国を転々とすることも珍しくありません。
実際自分が転勤となると、分かってても不安になりますよね。
ところで、転勤のメリット・デメリットってどんなものか考えたことはありますか?
転勤=悪いイメージ(デメリット)ばかりが先行しがちですが、メリットになる点も意外にあるんです。
今回は人事担当業務を通じて経験した、転勤のメリット・デメリットを皆様にお伝えします。
メリットになる部分をよく認識すれば、逆に自分の糧になりますよ。
目次
転勤することのデメリット(仕事面)
ここでは、あえてデメリットからお伝えします。
業務を覚えたころに転勤、リセットしてしまう
特に総合職の場合、同じ業務ばかりすることは少なく、まったく違う仕事を命じられることがあります。
今までは人事を担当していたのに、次はシステム、その次は営業といったような形です。
これは、いわゆる色々な業務を通じてキャリアを積ませ、ゼネラリストの視点を養ってほしい、という観点からくるものと言われています。
ただし、それまで全く異なる業務を命ぜられた場合、仕事を完全に覚えて戦力になるまでには、最低2年は掛かります。
1年目はそもそもその仕事自体を覚えることに費やし、2年目でようやく戦力として働くことができます。
1年目で完全に戦力になる人は、これまでの経験上一人もいませんでした。
それだけ、新しい業務を覚えるというのは難しいものなのです。
しかし、ようやく慣れて戦力になった頃に転勤を命ぜられるものです。
本人がいかにその業務で戦力になりたいと願っても「職の要求」が優先されてしまいます。
スペシャリストになりにくい
日本的雇用の特徴として、スペシャリストではなくゼネラリスト志向な部分があります。
一つのことに特化せず、色んな部署を転々とさせる、いわば「広く浅く」な人間を育てがちです。
知識・情報の高度化に伴い、仕事の内容が複雑になっても、この傾向はなかなか改善しません。
ゼネラリストとは聞こえは良いですが、結局その組織を辞めたら何もスキルがないと同じことです。
要は「潰しが効かない」ということです。
むしろ、辞めさせないためにゼネラリストにさせているのでは?とも捉えられます。
人間関係が構築できたところで転勤、リセットしてしまう
人によっては、業務を覚えること以上にネックになる問題でしょう。
良質な人間関係は仕事の楽しさにも直結します。
せっかくそれまで長い時間を掛け、周囲と打ち解けてようやく構築できな人間関係も、転勤すればリセットされてしまいます。
そして新たな地で、ほとんど初対面の方々と一から人間関係を構築しなければなりません。
それが定年まで続くのか?と考えた場合、人間関係を築くのが苦手な方には地獄そのものでしょう。
合意事項がひっくり返されることが多い
転勤=人事異動により業務担当が替わることも意味します。
その結果、会議やミーティングで合意していた事項も人事異動で反故されることも珍しくありません。
「前の担当はそう言ってたけど、俺はこうだから」と180度真逆の方針を打ち出されたら溜まったものではありません。
せっかく合意していた内容が全て水泡に帰してしまい、業務が滞ってしまう原因になります。
これでは仕事は進みませんよね。
対応策として、常日頃から会議やミーティングの場ではしっかりと議事録を取っておくことが重要となります。
「いつ、誰がどんな発言をし、誰が合意したのか?」をエビデンスとして必ず取りましょう。
後々もめたとき、そのエビデンスがあれば、あとからひっくり返されることは少なくなるでしょう。
また、重要な内容は電話ではなくメールを中心に行いましょう。
メールサーバーにしっかり残っているので、「言った言わない」論争で疲れることもなくなります。
転勤することのデメリット(プライベート面)
マイホームが持ちづらい
転勤族の場合、マイホームを持つことは出来ないわけではありませんが、住み続けることは困難でしょう。
大概、家を建てたり、マンションを購入すると決まって遠方に異動することが多いです。
これは諸説あれど、「住宅ローンという負債がある以上、無茶な転勤も断らないだろう」という思惑からきています。
いずれにしても、定年または退職するまでは、マイホームに住み続けることは諦めざるを得ません。
家族への負担が大きい
これは家庭がある方も、独身の方にも当てはまります。
家庭がある方の場合、奥さん(旦那さん)やお子さんをどうするのか?
帯同か、単身赴任かでしっかりと家庭で話しあう必要があります。
帯同の場合、配偶者の仕事は辞めなければなりませんし、お子さんも転校を余儀なくされます。
一方、単身赴任の場合は上記の不安はなくなりますが、二重生活を強いられ家族の交流は少なくなるでしょう。
独身者は一見問題なさそうですが、仮に実家からかけ離れた遠方に転勤が続く場合、ご両親や兄弟のサポートが得にくくなってしまいます。
近ければ土日で帰省することも可能ですが、遠距離ならなかなか帰ることすら難しいですよね。
引っ越し費用で赤字(転勤貧乏)になることも
これは組織によるところもありますが、全額負担してくれるところは少ないでしょう。
引っ越しの見積もりも、最も安い会社で最も安いプランしか採用してくれないこともあります。
当然、足りない部分は自腹を切らざるを得ず、結局蓋を開けてみたらトータルで赤字、ということになります。
1年単位での転勤が続いた場合は赤字貧乏になることも。
転勤するうえでのメリット(仕事面)
ここまで気が滅入るようなデメリットばかりでしたが、では転勤のメリットとは何か?をご紹介します。
最悪な人間関係でもリセットできる
転勤での最大のメリットともいえるでしょう。
最悪な上司にあたってしまい、パワハラやセクハラを受けている場合でも、2~3年すれば必ずどちらかが転勤します。
もし転勤がない組織の場合だったらそうもいきませんよね。
僕も昔クラッシャー上司の元で働いたことがありましたが、結局1年しか重ならず、被害はそこまで大きくありませんでした。
人間関係リセットによる再構築は大変かもしれませんが、逆に嫌な人間関係を解消しやすいともいえます。
高く人事評価されやすい
転勤の辞令を受け入れるか、拒むかで人事評価に差が出てきます。
昇給・昇進や、より責任のある仕事を任せるかどうか、要は「出世」に深く関係してきます。
転勤とは「職の要求」によるものであり、拒むことは人事評価としてはあまりよくありません。
職の要求を聞く者と聞かない者、どちらを高く評価するかは言うまでもありませんよね。
もちろん、拒む理由が妥当であれば非難されることはありませんが、それでも差は出ることは避けられないでしょう。
次の希望配置・部署を考慮してもらいやすい
転勤を受け入れた場合、人事評価は高くなりやすいと述べました。
併せて、次の希望配置・部署は考慮されることが多いです。
激務や責任重大過ぎる配置はなかなか行きたくありませんよね。
しかし、あえてそうした配置に行くことにより、その次の配置をある程度融通してもらいやすくなります。
アメとムチというわけではありませんが、組織のために受け入れた人に対する温情の一つでしょうか。
幅広い人脈づくりがしやすい
様々な場所に転勤するということは、それだけ多くの人間と関わることになります。
それは人脈づくりに大いに役に立ちます。
ある一定の場所でしか働かなかったら、人の流動性もなく、出会いも限られたものになってしまいます。
しかし、転勤により数多くの方々と出会うことで、人脈が広がり、仕事内外問わず有益な力となるでしょう。
事実、定年・自己都合問わず退職したあと、築いた人脈のツテで再就職をする人は数多く目にしました。
転勤するうえでのメリット(プライベート面)
新しい出会い・新しい経験を得ることができる
一つのところに長く住み続けると、マンネリ感はどうしても出てきてしまうものです。
一方、転勤は様々な場所にすることになります。
全く知らない土地であれ、新しい出会いや新しい経験があなたを待っています。
それは何事にも代えがたいものであり、あなたの血肉になることは間違いありません。
無駄に物が増えなくて済む
転勤がない場合、どうしても家具をはじめとして物がひたすら増え続けてしまいます。
一方、転勤がある場合、極力身軽でいたほうが引っ越しも簡単ですし、何より引っ越し費用も押さえられます。
本当に必要なものだけを揃えるようにすれば、部屋もすっきりして精神的にもプラスになることでしょう。
学生時代にもので溢れかえってた人でも、転勤族になった途端にミニマリストレベルに片付く人もいます。
まとめ
転勤にマイナスイメージを持っている方、少しはイメージが変わりましたでしょうか?
(いきなりは難しいでしょうが・・)
転勤のメリット・デメリットを把握することは、自分が望む働き方の実現にも繋がっていくものです。
デメリットというものは裏を返せばメリットになりうる、いわば表裏一体なもので、決して転勤自体は無駄になることはありません。
転勤をしたことのない方と比較し、はるかに人生経験を積んでおり、誇るべきものです。
今回したメリット・デメリットがあなたの今後の糧になれば幸いです。
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